「クジラ類……イルカ・クジラのなかま」とは
分類学的にはクジラとイルカには大きな違いはない。西洋では紀元前2000年以上も前から捕鯨がスタートしているにもかかわらず、クジラは魔物として描かれることが多く、その全身が正確に表現されるようになるのは博物学書でも20世紀になってからのことである。むしろ中世以降に本格的な捕鯨が発達した日本に、実体に近いクジラの絵図が多く残されている。また食文化が発展した中国では鯨肉を使った料理はほとんど見当たらないが、日本では近年にいたるまで捕獲したクジラをあますことなく利用してきた。紀伊半島や土佐沿岸にクジラがあらわれるのは、毎年陰暦の正月ころだったため、人びとはこれを「クジラの神詣で」などと呼んで神聖視していた。ちなみに、『西遊記』の沙悟浄は、日本では河童の化身とされているが、その実体はヨウスコウカワイルカであるらしい。
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